甘い恋の始め方
「もうっ、加奈っ」

理子は加奈の袖を引っ張りたしなめる。

それを見て、あずさがふふーんと訳知り顔で頷く。

「私のおかげでしょ? 理子」

「ま、まあ……そうだけど……」

理子は嫌な予感を覚えながら頷く。

たしかに婚活パーティの帰りがけにあずさが私の話をしなければ、あの後のことはなかったかもしれない。

「じゃあ、包み隠さず加奈が知らないことまで話しなさいよ」

「そんな命令っ――」

「いいじゃない。副社長と付き合うことで悩みがたっぷりあるんだから、聞いてもらった方がいいわよ」

嫌だと言おうとした矢先、加奈に説得される。

ふたりの興味津々の顔に、口をへの字にしてうんざりした顔を作る。

それから理子は運ばれてきたマルガリータを一気に飲んで、おかわりをオーナーに告げる。

「ちょっと酔っぱらわないでよ? ちゃんと話してもらうんだから。私が結婚していなかったら、彼にアプローチしてたところよ」

「たしかに~ 副社長、ゴージャスだからね~」

あずさと加奈が意気投合で頷きあっている。

そんなふたりに理子は大きくため息をついた。


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