甘い恋の始め方
「そんなに軽くないわよ……」

(って、信憑性はゼロに等しいか)

久我副社長と寝たのは前から憧れていたというのもあったし、彼との初めてのキスは今までに感じたことがないくらい胸が苦しくなった。

恋い焦がれるような、切なく甘い気持ち。

(あのまま帰っていたらもう二度と会っていなかっただろうか……)

「私はあずさの意見と反対よ。浩太君とも寝た方が良いと思うわ」

悠也を思い出していた理子の耳に、加奈の突拍子のない言葉が聞こえてきた。

「えっ? 今なんて言ったの?」

理子は加奈の顔をじっと見る。

「浩太君とも寝てみたらいいって言ったの」

「加奈っ」

「だって、身体にも相性ってものがあるじゃない? もしかしたら浩太君の方がもっと良いかもしれないわよ? なんて言ったって若いし」

加奈の言い分にジントニックを飲んでいたあずさがムッとして、グラスを乱暴に置く。

「そんなこと、勧めないでよ。大人の男の方が、経験豊富でテクニックがあるわよ。若いのはただやりたいだけで、女の気持ちなんて気にしないわよ」

あずさの言い分に理子は首をかしげた。


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