甘い恋の始め方
「ああ……それで。君は……俺の今の地位を知っていたから寝たんですね?」

今まで悠也の瞳を見られずにいたが、ズバッと言われて理子は顔を上げた。

「誤解です!」

「誤解? 君は裕福な男と結婚したくてあのパーティーに参加していたんですよね?」

悠也の言っていることは当たっている。結婚に焦って相手を見つけようと参加した。

愛よりお金が大事。そう思って参加して悠也に出会った。

しかし、それだけの理由で出会った日に寝たわけではない。

憧れていた人だったから寝たのだ。いや、打算的な考えもあった……この人と結婚したら、お金に困らない生活が出来ると。

現に悠也と浩太を少しだけだが天秤にかけていたのだ。

その考えを振り返ってみると、理子は自分が嫌になった。

「理子さん?」

悠也の呼びかけで我に返った理子はいきなりソファから立ち上がった。

悠也が驚いたように切れ長の目を大きくして見上げている。

「本当にごめんなさい。私……心の整理が……今までのことはなかったことにしてください! 会社であっても無視してください!」

衝動的に言って90度近く頭を下げてからドアに向かう。


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