甘い恋の始め方
ベッドに入ったところへ、愛美が部屋にやってきた。

「大丈夫? ポカリ、置いとくね」

「ありがとう」

「お姉ちゃん、あんなに素敵な人がいながら婚活パーティーになんで出たの?」

「突然なに言うのよ」

婚活パーティーに出たのは約1ヶ月前。両親には1年付き合ったと話したので、愛美は腑に落ちないのだろう。

「だって、あんなイケメンでセレブな人と付き合っていたら、内緒に出来ないんじゃないかなって」

「恋愛なんてペラペラ話すもんじゃないでしょ? 婚活パーティー……に出たのは主催する会社に勤めている友達に頼まれたからよ」

「それにしては気合入っていたみたいだったけど? わざわざマニュアルに近い洋服を私から借りるくらいなんだから」

「なにが言いたいの? だるくて仕方ないんだから旦那様の元へ戻りなさいよ」

理子は布団を愛美に背を向けると顔まで布団をかけた。

「ま、いいわ。お姉ちゃんが幸せならね」

ドアが静かに閉まり、理子は布団から顔を出し吐息をつく。

(もうっ、普段はおっとりしているくせに、変なところが鋭いんだから)

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