甘い恋の始め方
「率直に言います。悠也と結婚する理由はなんでしょうか?」

ピザ屋で会った人とは思えないほど、無表情の篠原の声は冷たく聞こえる。

「え……」

(悠也さんと結婚する理由? どうして?)

「金ですか?」

答えに戸惑っていると、篠原ははっきり口にする。

金と言われて、理子の目が大きく見開く。

婚活パーティーに参加した理由がそれだっただけに違うとは言いきれない。

「金だけで結婚生活がうまくいくと思いますか? 悠也が心配でね。変な女に引っ掛かったのではないかと」

打算的な女に見られてしまい、理子は頭をゆっくり振りうなだれる。

「小石川さん?」

「お金だけじゃありません。私は悠也さんを愛しています」

理子は顔を上げると、篠原の目を見つめて落ち着いた声で言った。

「口だけならいくらでも言えますよ。愛に時間はいらないと言いますが、悠也が金を持っていなかったら? 金の切れ目が縁の切れ目とも言います」

「社長!」

酷い言葉に理子は唖然となり、眩暈を覚える。

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