甘い恋の始め方
「はい! お時間です! お気になった方がいらっしゃいましたでしょうか! この用紙に、もう一度お名前をお書きください。2枚目が別の方でしたら、より両思いの確立が上がりますので、この機会にぜひ恋人同士になってください!」

理子は2枚目の用紙はなにも書かずにきちんと折って提出した。

(久我副社長のせいだわ。他の男性がぜんぜん良く見えないもの)

久我副社長が自分を書いてくれているはずはないが、今日のパーティーで相手を見つける気になれない。

(ま、美味しいディナーとデザートが食べられたから参加費20000円は惜しくないと考えよう)

部屋の隅で用紙を確認していたあずさが立ち上がった。

集計が終わったようだ。

あずさの表情が浮かない顔をしている。

(どうしたのだろう……)

親友の表情が理子は気になった。

浮かない顔のまま、あずさは皆の前に出て口を開く。

「皆さまから頂きました集計の結果……残念ながら今回カップルは生まれませんでした。本当に残念です。今後ともブレーン&ラブプロモーションをお引き立てくださいますようお願いいたします」

あずさとアシスタントスタッフは深くお辞儀して、パーティーを締めくくった。

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