甘い恋の始め方
再び1対1の5分間の時間が始まる。

2回目になれば少しは慣れた感じで話すことが出来ると主催者側が考えてのことなのだろう。

順番も同じで、理子が最後に話すのは久我副社長だ。

(私が同じ会社で働いているのはわからないみたいだった。これを喜んでいいのか、悲しんでいいのか……会議で一緒になったことがあるのに)

「気に入った男性は見つかりましたか?」

悠也が前にいるのに、理子はぼんやりと考え事をしてしまっていた。

はっとして、端正な顔に視線を戻す。

「あの、ごめんなさい……?」

まるっきり聞いておらず、小首を傾げる。

「気に入った男性は見つかったかお聞きしたんです」

「それは……」

本人を目の前にして「あなた」だと言えない。
というか、まだ内緒にしておかなければいけないルール。

「でも、それは言ってはいけないんですよ」

「ああ、そうでしたね」

ふっと悠也は笑った。

それから真剣なまなざしでじっと見つめられ、理子は彼の特別な女性になった気がしてきた。

(まったく、なに妄想なんてしちゃってるの? 久我副社長が私を選ぶはずがないのに)

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