甘い恋の始め方
今まで付き合った男の浮気歴を披露したら、この時間だけでは足りないかもしれない。

いつの間にか2杯目のカクテルが届く。

今度のカクテルは真っ青な透き通った色。

それが空になるころ、理子の頭はおろか身体もふわふわ浮いている気がした。

悠也の飲むペースは速くて、すでに3杯。

「お酒、お強いんですね」

「そうですね。人前で醜態を見せたことはありません」

ろれつが回らなくなりそうな理子とは反対にきっぱりとした声。

「理子さんはそれほど強くないみたいですね」

「そのとおり……です」

(そうだ……レストランでもワインを飲んでいたんだっけ……エレベータの時も酔っていたのかもしれない……そうじゃなければ、久我副社長と一緒にお酒なんて……)

額に手を置いてふうっと吐息を漏らすと、水の入ったグラスが差しだされた。

「水を飲んでください」

「ありがとう……ございます」

グラスを受け取って、こくりと喉に水を流し込む。

「目尻がほんのりピンクに染まっていますよ」

「え……本当ですか」

「キレイな桜色に」

「やっぱりカクテルってアルコール度数が高いんですね」

手を両頬にあててくすっと笑う。

< 34 / 257 >

この作品をシェア

pagetop