恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―



バーを出て少し歩いたところで、和泉くんは私の肩から手を離す。
そして、鍵を私に渡してから、勝手にごめんと謝った。

「なんで和泉くんが謝るの?」
「大野の問題なのに勝手に入り込んだから」
「でも……私は和泉くんがきてくれて助かったよ」

こっちを見た和泉くんを、笑顔で見上げた。

「実はちょっと泣きそうだったから。
あんなところで泣いたら恥ずかしかったし悔しかったから……だから助かった。
ありがとう」

和泉くんは私を少し見た後、ならいいけどと目を逸らす。

時間は20時を回っていた。
駅前の通りだから、人通りが多くて、行きかうサラリーマンを眺めながら自分が働いていた時、よくこの時間帯にこの辺を歩いていた事を思い出す。

「でも、なんであそこにいたの?」
「先週話を聞いた時点で、なんとなく相手側が何をしたいのか分かったからそれで気になって。
大野より先に店に入ってた」
「えっ、そうなの?」


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