いとしいあなたに幸福を
周はばつが悪そうにごめん、と謝罪してから、しかし安堵したように笑顔を浮かべた。

「でも…二人が無事で良かった」

「……っ」

周の笑った顔を認めた瞬間、愛梨は思わず力が抜けてその場にへたり込んだ。

「愛梨!!」

「愛ちゃん!?」

悠梨と周が同時に差し伸べてくれた腕に支えられ、咄嗟に二人に縋り付く。

「あ、あの……周さんの笑ってる顔、久し振りに見たから…安心、しちゃって…、……っ」

途端に、今まで何とか堪えていた涙が溢れて止まらなくなった。

「愛ちゃん」

「…愛梨。俺を守ろうと頑張ってくれて、有難うな。…怖かっただろ」

悠梨が、優しく頭を撫でてくれた。

「…ごめん。俺さえしっかりしてれば二人をこんな目に遭わせずに済んだのに」

「違うの、周さんのせいじゃないっ…だからそんなこと言わないで…!」

泣きじゃくりながら懇願すると、周は苦笑して有難う、と呟いた。

「愛ちゃん。俺はさっき、物凄く久し振りに京を自分の腕に抱いてやったんだ」

「え…っ」

掛けられた言葉に、驚いて顔を上げると、周は再び苦笑いを浮かべた。
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