いとしいあなたに幸福を

「あの気位の高かった厘殿が、周殿の話となると驚く程優しげな表情で笑うのを、私は良く覚えておりますからね」

「…!!」

「厘殿も…きっと、本当は周殿と解り合いたかったと思いますよ」

――優しげな笑顔。

「……ずるいな、母さんは」

そんなの、俺には一度も見せてくれなかった癖に。

「周殿…」

「…有難うございます、架々見様。母はあまり母親らしくはなかったけれど…領主としてはとても尊敬しているんです」

母は領主として住民たちからの信頼は深く、母も住民たちを大切にしていた。

「けど俺は、領主としてより父親として息子に慕って欲しいから…どうにか上手いこと出来る道を探したいと思います」

「…ええ。周殿ならきっと、出来ますよ」

そう、だろうか。

そうだと、いいな――





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