いとしいあなたに幸福を
「あの小娘――…愛梨といったか」

もう殆ど聞こえていないであろう相手に、架々見は独り言のように声を掛ける。

「あれはいずれ、必ず俺のものにして見せるさ」

そして暫し愉快げに笑っていたが、不意に不快そうにその顔を顰めた。

「だが…小賢しい兄は実に目障りだ。それにあの霊奈の跡取りもまだ青臭い若造の癖に、余計なことをしてくれたものだよ」

架々見が目の前に翳した掌をゆっくりと握り締める動作に合わせて、大男の首を締め付ける力も更に強まった。

「あの二人には俺の邪魔をしたことを深く深く、後悔させてやる――」





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