【短編集】あいとしあわせを祈るうた
「すいません、いいですか?」
といいながら、杉本君、ダッフルコートとショルダー・バッグを私に預け、身軽になる。
本気だ。
CG大画面の前のスノーボードに乗って、ゲームスタート。
また、びっくり…上手い。
華麗な滑りで、いくつもの崖っぷちをクリアしていく。
「うわっ!上手〜!」
私は手をパチパチ叩いて、ぴょんぴょん飛び跳ねた。
杉本君、器用に身体のバランスを取り、瞬く間に得点を稼いでいく。
頬が上気し、さっきのゾンビより目が真剣だ。
ギャラリーが集まってきた。
すげえ、とか口々に言われてる。
そんなこともお構いなしに、杉本選手、フィニッシュを迎え、本日の高得点ランキング5位に見事その名をクレジットする。
こんなこと言っちゃ悪いけど…
意外。
「さやかさんもやってみませんか?
簡単ですよ」
「え〜…?私、スノボとかやったことないよ」
「大丈夫。本当のとは違いますから」
杉本君の口車に乗せられ、私も挑戦してみた。
が。
約1分で撃沈……
「うっそお!難しいじゃん!
誰よ、簡単って言ったの!」
普段しない動きをしたせいで、私のおでこには、うっすらと汗。
笑いながら、杉本君にやつあたり。
「いやあ、コツさえ掴めば簡単なんですけどね〜」
杉本君は頭を掻く。
お次はUFOキャッチャーのコーナーへ。
「じゃあ」
杉本君はクマのキャラクター・グッズのマシンの前で立ち止まる。