【短編集】あいとしあわせを祈るうた
私はエマ役。
超ボインの悩殺バディで頑張るゼ!
……が、あっけなくエマは死亡。
杉本ハーリーは粘る、粘る。
上手い!
手に汗握る。
杉本君、笑いながらも、目が真剣だ。
狭い空間にいるせいか、杉本君のかすかな体臭を感じる。
それは、摩りたてのジンジャーのような。
嫌いじゃない……と思う。
嫌いじゃない、と言うことは、
好きだ、というのとほぼ同義語だ。
「…どうしたんですか?」
杉本君が訝しげな顔で私を見る。
いかん、私、杉本君のこと、見詰め過ぎていた!
いつの間にか、ハーリーも死んでいた。
「ねね、杉本君!」
私は、オモチャの機関銃を構えた。
「か・い・か〜ん♡」
といいながら、スローモーションにそれを振り上げ、肩に担いでみせる……
が。
「………?」
眉を寄せ、明らかに困惑する杉本君。
往年の名画のワンシーンの物真似だが、通用しなかった…!
こんな時、冬馬だったら、
『よっ薬師丸♡』とかなんとかノッてくれるのに。
「次行こっ!次!」
私は照れ隠しに叫んだ。
「俺、こういうの得意なんです」
杉本君が選んだのは、スノーボーダーになって、雪山を滑走する、というゲーム。