【短編集】あいとしあわせを祈るうた


「小学二年の時、夏休みの工作で本立て作ってから、大工仕事が大好きになったんです。
それ以来、家のガレージで、暇さえあれば、トントンやってます。
カンナで一心不乱に表面削ってると、無になれていいんですよ。

大学生の時は木工サークルに入ってました。
1番の大作は、二年の時に作った8段チェストですね。
引き出しのところに、ツタの飾り彫りもしました。
それは、今でもうちのリビングで使っています」


「へえ。すごい!器用なのね〜
冬馬なんて、ニトリの三段カラーボックスの組み立てですら、四苦八苦するのに!」


「俺、家庭持ったら、ケヤキのデカい食卓テーブル作るのが夢なんです。
形は丸。
それでワイワイガヤガヤ、家族で賑やかに食事したいんです」


杉本君は、そう言って柔和に笑った。


素直にこの子、いい子だな…と感じた。


杉本君と結婚したら、幸せになれそうだな。



なんで彼女と別れたのか、結局聞きそびれたことを思い出した。








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