『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
「何としても男の子を生むのよ! 顔のキレイな敬タン似の! 」
「あのー、男の子ってフツー母親に似るもので」
「まあそれでもいい、とにかく男、絶対に男よ! 」


蘭子さん、それじゃタチの悪い姑です。


まあ、男じゃないと跡を継げないっていうのは分かったけれども。


「自分の心配をするの、これからは。ココをもう卒業したんでしょ? 」


その言葉が胸に刺さる、確かにあたしは『シャングリラ』から出て行ったんだ。


女だし、自分のやりたい仕事も見つけて……。


「跡なんか継がなくてもいいって、ママ言ってたわよ。幸せになってくれたら、いいからってね」
「蘭子さん、ありがとうございます」
「それから明日から仕事に行くのよ、あんまりサボれないでしょ、芸能関係は。ママのお世話なら、あたし達がやるから安心して」
「本当にありがとうございます」


タバコをもみ消して、蘭子さんは大きく伸びをした。


「眠くなっちゃったわ、バタバタしてたから」


その目には、涙が一粒浮いている。






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