『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
車のドアを再び開けて、秀一郎の肩を持ち上げる。


「起きて下さい、もう家ですよ」
「ん……」


半目を開けて、不機嫌そうに起き上がると、あたしの肩につかまりよろけながら歩く。


万里也はちっとも目を覚まさないので、先輩が抱き上げる。


ほぼ同じ体格なのに、万里也の体重は案外軽いらしい。


それを見て、秀一郎が顔色を変えた。


「触んな! 」
「すみません」


目をバチっと開け、万里也の体を抱きかかえる秀一郎。


やっぱり自分の大事な存在だから、他人に触れられるのが嫌なのだろうと先輩と視線だけでうなづく。


「もうええ」


部屋の前で別れ、自分の部屋に入ると米山の姿は無かった。


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