『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
間奏までは、ちゃーんと振り付けもこなし、歌も口パクじゃ無かった。


が、間奏に入った瞬間、2人の体が向き合い、妖しげな腰の動きが……。


どんどん体は接近、そして、唇が重なった。


「あれ、マズいね」
「PVの時もやってましたが……」


撮影スタッフも、ただ彼らの動きを追い、妖しげな世界に飲まれていた。


最後のキメまで。


撮影は一発で終了、そしてあたし達はディレクターに呼び出された。


「あれはハギモトさんの方針? 」
「申し訳ございません」「リハーサルと振付と違うから、カメラさんも困ってたしー、男同士でキスっていうのもねー」


ですよねー、おっしゃる通りでございますとも。


何なら放送しないでもいいかと、いや、それは困る。


PRなんだから。


「撮り直しをさせていただけませんか? 」


向島先輩も、ホワイトニングビームを出しながら頭を下げるが、相手は何にも言わない。


「お願いしますー」
「ま、一応担当P(プロデューサー)に聞くけどさ、とにかくこのままじゃ放送しない可能性もあるから」
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