『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
放送しない可能性は、多分99.9%、あんなの公共の電波で流せるワケが無い。


PV位ならまだマシだけど、番組の特別ライブコーナーではまずムリだ。


「志穂ちゃん、あきらめよう」
「事務所にどう報告すればいいですか? 」
「僕が報告するから、心配しないでいいよ。大丈夫」


何て頼もしいの、先輩は。


天然な敬介に比べ、いつも冷静沈着で的確に物事を判断するなんて。


「2人は今、楽屋? 」
「はい」
「注意して来るよ、志穂ちゃんはPVとCDを持って局内に挨拶回りをして来て」


紙袋を渡され、急いで局内を駆け回る。


とにかく色んな人にこれを渡して、宣伝しなくてはいけない。


今回の収録がお蔵入りになろうが、まだチャンスはあるから。


会社のメンツを掛けて売り出す彼らに、何もしないわけには行かないんだ。


本当は大嫌いでも、担当になった以上、彼らを売るのがあたしの仕事。



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