lovable winp
先生がいなくなって、静かになった保健室で微かな相菜の呼吸の音だけが聞こえてくる。
涙の跡が残る相菜の頬にゆっくりと伸ばした指先は、自分のモノなのに止められないくらいガタガタと震えていた。
「…………」
震える指先に触れた頬の温もりで、相菜が生きてるって実感して泣きたくなった……。
ぐったりと倒れ込んだ相菜を見た瞬間。
このまま相菜を失ってしまうのかと思ったら、目の前が真っ暗になって絶望感と後悔ばかりが頭の中を駆け巡った。
ずっとガキみたい独占欲で幼稚な愛情表現しか出来なくて……。
素直に好きだって伝える勇気がない癖に、傍に居て欲しくて相菜の気持ちを逆手にとって……脅してイジメて泣かせて嫌われた。
困らせてでも良いから俺を見てて欲しかったんだ。
そうしてる間、相菜を独占出来るのが嬉しかったから……。