lovable winp

「俺のせいで怪我したって言えよ」


「彩くんのせいなんて思ってない」


相菜の手首に巻かれた包帯を指差しながら、自嘲するみたいに言い放った言葉を相菜は否定した。


優しさなのか、当て付けなのか……。


否定した相菜に逆に惨めさを感じて、


「嘘つけよ! おまえは俺のことが嫌いで仕方ない癖に」


「そんなこと思ってない!」


感情的になる俺の両手をギュッと掴んで、相菜は更に強く否定した。


そんな相菜の手を振り払い、ゴチャゴチャになった頭の中と同じように前髪をクシャクシャとかきむしる。


「おまえの気持ちを試したくて嫌がらせばっかりしてきた。……こんなんばっかりしてたら嫌われるってわかってたのに」


他に相菜の気持ちをつなぎ止める方法が思い浮かばなかった……。


絞り出すような声で感情を吐露していくのをただ黙って受け止めて、


「彩くんが寂しそうな顔をしなくて済むなら、嫌がらせくらい耐えられるよ」


前髪をかきむしってた両手をもう一度そっと相菜が握り締めた。

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