Bitter Sweet
高梨の表情を見たくて、
きつい腕の中でなんとか首を上げて、彼の顔を見上げた。

高梨の瞳は明らかに戸惑いの色を浮かべている。


「有田さんは?一緒だったんだろ?」

ー知ってたんだ、高梨…。

苦い気持ちを噛み殺しながら、
私は口を開いた。

「一緒だったよ。…サヨナラするために。」

高梨は驚いて目を見張る。

「コレ…高梨でしょ?」

手にずっと持っていた小箱を高梨に見えるようにかざす。

「私の都合のいい解釈、聞いてくれる?」

箱から時計のチャームを取り出し、自分の掌に乗せた。

「コレはね。私には未来があるよってメッセージだと思ったの。
私は昂くんじゃなくて、高梨とこれからの時間を過ごしたいと思った。…だって、」

そこまで一気に言うと。

「ちょっと待った。」

高梨はふっと嬉しそうに目を細めながらも私の言葉を遮ってしまう。


「ダメ。それ以上言わないで。」

ーえ。

『だって、私は高梨が好きだから。』

その言葉は宙に浮いて、しかも言うのを拒まれてしまうなんて。

振り絞った勇気がシュルシュルと萎んでしまう。

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