七神〜私と君で咲かす花〜
「知ってる。封印が解かれた妖化がいるらしいね」
「そうなの! だから……」
一緒に月神のもとへ…!
「颯のところへは俺が行く。琥珀は屋敷に戻って」
……え…?
千尋の言葉に、耳を疑った。
「そんな……っ 私も…」
私も行きたい…!!
一緒に戦って…
「能力があっても、力を使えないやつは無力に等しい」
「っ!!」
「悪いけど、屋敷でおとなしくしてて」と、真剣な顔言う千尋の言葉は、胸に突き刺さるようで。
「じゃあ」、とだけ言い残し、千尋は私のもとを去った。
“無力”――。
その単語が、頭の中で何度もリピートされる。
「……っ」
唇を強く噛み締めた。
まったく、そのとおりだ。
力が使えなければ、何の役にもならない。
――でも。
それでも……っ!
私は方向転換を行い、真っ直ぐ走り出した。
月神たちがいる、林の方へと―――