龍神様との恋愛事情!
「いいっ…の」
それでも、長引いても…構わない。
死ぬわけじゃないんだから。
こんな痛みくらいっ…!
「…………はぁ」
私の我が儘に呆れ果てたのか、伊吹様が深い溜息をこぼした。
そして――。
「黄龍。沙織を貸せ」
「どうするつもりだ」
「連れては行かん。血をやるだけだ」
血…?
何のことだろう…。
「一時凌(しの)ぎにしかならんがな」
そう言うと伊吹様が私を抱き寄せた。
千早様は素直に私を離して見守っている。
何をするんだろう…?
痛みに支配される意識の中、私は伊吹様の動きを見ようと目を開けていた。
すると、伊吹様は突然自分の唇を噛み、傷つけた。
伊吹様の唇からツーッと血が滴る。