龍神様との恋愛事情!

「いいっ…の」


それでも、長引いても…構わない。

死ぬわけじゃないんだから。

こんな痛みくらいっ…!


「…………はぁ」


私の我が儘に呆れ果てたのか、伊吹様が深い溜息をこぼした。

そして――。


「黄龍。沙織を貸せ」


「どうするつもりだ」


「連れては行かん。血をやるだけだ」


血…?

何のことだろう…。


「一時凌(しの)ぎにしかならんがな」


そう言うと伊吹様が私を抱き寄せた。

千早様は素直に私を離して見守っている。


何をするんだろう…?

痛みに支配される意識の中、私は伊吹様の動きを見ようと目を開けていた。


すると、伊吹様は突然自分の唇を噛み、傷つけた。

伊吹様の唇からツーッと血が滴る。


< 155 / 564 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop