龍神様との恋愛事情!
息を整えながら伊吹様を見上げると、彼は指で自分の唇の血を拭っていた。
だいぶ暗闇に慣れてきた両目。
伊吹様の白い肌と唇の赤がやけにハッキリと認識できた。
「どうだ?まだ痛むか」
問われてハッとした。
あれ?
そういえば……。
「痛みが…消えた?」
何でだろう?今、全く痛みがない。
さっきまでは呼吸さえも苦しかったのに、今は至って健康体の状態。
「どうして…?」
驚いて伊吹様を凝視すると、彼はしゃんと立ち、私に背を向けた。
「痛みが消えたならそれでいい。明日まで待ってやる」
言うだけ言うと、また闇に身体が吸い寄せられていく。
伊吹様は部屋の影に吸い込まれ、さっさと姿を消した。