龍神様との恋愛事情!

「では、行こうか。失礼」

そう言うと、彼は私のことを抱き上げた。


え…?

なんでいきなり、抱っこ?


「あの…降ろして下さい…!」


「それは無理な願いだよ。こうした方が早いから」


言うが早いか、私を抱き上げたままふわりと舞い上がる。


「え!?」


さすがに、唖然とした。

ふわふわと宙を浮いて移動する彼――千早。

私達は神社の後ろにそびえる塒山に向かって飛び始めた。


「……本当に人間じゃないんですね…」


これだけで納得してしまいそうになった。


「言ったでしょ。龍神だって。飛べるのは当たり前」


「どこに行くんですか?」


「塒山の山頂。そこに龍の神社があるからね」


聞いたことがある。

塒山のてっぺんには塒山神社っていう古くて小さな神社があるって。


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