龍神様との恋愛事情!


 病院には千早様までついて来た。

エレベーターで階を上がり、おじいちゃんの病室へ。


「夕星様」


誰よりも先に、おばあちゃんがおじいちゃんに呼びかけた。

すると、雑誌を眺めていたおじいちゃんが弾かれたように顔を上げる。


「香織…?」


「はい」


「香織、か…?」


「そうですよ。すっかり痩せましたねぇ、夕星様」


「……俺が…わかるんか…?」


「ええ。随分と、迷惑かけてしまって…ごめんなさいね…」


「か、お…り」


おじいちゃんの泣きそうな声に、私達親子と千早様はさりげなくこの場を離れた。

今は二人きりにしてあげたいから。


廊下に出て、フーッと安堵の溜息。

これで、良かったんだよね…。


< 171 / 564 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop