龍神様との恋愛事情!
病院には千早様までついて来た。
エレベーターで階を上がり、おじいちゃんの病室へ。
「夕星様」
誰よりも先に、おばあちゃんがおじいちゃんに呼びかけた。
すると、雑誌を眺めていたおじいちゃんが弾かれたように顔を上げる。
「香織…?」
「はい」
「香織、か…?」
「そうですよ。すっかり痩せましたねぇ、夕星様」
「……俺が…わかるんか…?」
「ええ。随分と、迷惑かけてしまって…ごめんなさいね…」
「か、お…り」
おじいちゃんの泣きそうな声に、私達親子と千早様はさりげなくこの場を離れた。
今は二人きりにしてあげたいから。
廊下に出て、フーッと安堵の溜息。
これで、良かったんだよね…。