龍神様との恋愛事情!
私の願い事は叶った。
おじいちゃんとおばあちゃんのことで思い残すことはない。
次は…自分のことを考えなきゃ。
私は左腕の鱗を確認した。
痣はまた範囲を手首まで広げている。
今日、おばあちゃんと一緒に行こう。
心臓まで達する前に、龍の世界へ…。
そう決意して私は千早様に向き直った。
「ちは…」
声をかけようとして、軽く目を見張る。
「千早様?どうしたんですか?」
千早様は、ドアが開けっ放しにされているおじいちゃんの病室内をボンヤリと見つめていた。
何かを考えているような、少し遠くを見ているような…切ない横顔。
「千早様?」
もう一度声をかけたら、病室内から視線をそらさずに千早様はしゃべり出した。
「あれが…沙織のおじいさんか」