龍神様との恋愛事情!
おじいちゃんを見ているの?
「夕星といったね…」
「はい。おじいちゃんがどうかしましたか?」
「……いや……何でも、ないよ」
この会話中、千早様が私の方を向くことはなかった。
視線はずっとおじいちゃんに注がれたまま。
明らかに千早様が不自然。
何でもないようには思えない…。
気にはなったけど、たぶん私が尋ねても千早様は話をはぐらかすと思う。
踏み込めない雰囲気を今の彼から感じた。
なら、私は余計な詮索はせずに自分の決意だけを簡潔に伝えておこう。
「千早様。私、おばあちゃんと一緒に龍の世界へ行きますから」
この言葉に、やっと千早様はこちらを向いた。
「今日、私のことも一緒に連れてって下さい」
彼の瞳が、私を見つめて微かに揺れた。