龍神様との恋愛事情!
身一つで大丈夫。
病院から帰宅後、私はこの千早様の言葉を信じて、手ぶらで塒山を登った。
とは言っても一応、上着のポケットにはケータイが入ってる。
向こうまで電波は届かないにしても、あれば何かと便利かなと思い持ってきた。
私のケータイはソーラー機能つきで、太陽があれば充電できるスグレモノだから切れてもまた復活できるし。
……太陽があればね。
あるよね?
私の中の龍の世界のイメージは浦島太郎に出て来る龍宮城。
ようするに、海の底。
もし海底だったりしたら太陽の光は届かない。
その時は素直にケータイを諦めよう…。
「沙織、本当に何も持ってこなかったの?おばあちゃんも、入れ歯だけで良かったの?」
現在、塒山ハイキングコースをゆっくり進んでいる私と両親とおばあちゃん。
千早様は一足先に山頂へ行ってしまってここにはいない。