龍神様との恋愛事情!

病院を出る前、私はおじいちゃんにお別れを言ってきた。

たぶんこの先、退院できたとしても、塒山に登れるほどの体力をおじいちゃんが取り戻すとは思えない。

だから、ちゃんとお別れの挨拶を済ませた。


もう、会えなくなる。

寂しい。


でも、前向きに考える。

会えないけど手紙は出せるから、書き溜めておいてお母さん達に託せばいい。

おばあちゃんもこの提案に賛成してくれた。

これで龍の世界に行っても繋がっていられる。

家族の繋がりを大切にできる。


そのことに安心したのか、見知らぬ世界に行くというのに私の心は異様なほど落ち着いていた。


穏やかな気分で途中に現れた小さな木の橋を渡り、その後の急な登り斜面をえっちらおっちら進んだ。

もうすぐで山頂に辿り着く。


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