龍神様との恋愛事情!

「到着っ」


下ろされた場所は池の前だった。


「……池?」


社殿の斜め横。

木の陰に、井戸くらいの大きさの丸い池があった。


「社殿よりもこの塒池(ねぐらいけ)が大切なんだよ」


彼はそう言うと池に手を浸した。


「さて、君のおばあさんはどこにいるかな?」


浸して濡れた手を私の頭に乗せる。


その瞬間、私の頭の中に映像が流れ込んできた。



これは……桜川?

それに上り坂…。

少し先に牛舎があって……そこの道をおばあちゃんが――。



「わ、わかった!わかりました!おばあちゃん、いましたよ」


「そうかい。良かった。どっちの方向?よければ連れてってあげるよ」


「向こうです。降龍神社の先のなだらかな上り坂」


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