龍神様との恋愛事情!

謙一郎さんは私よりも年上に見えた。

たぶん、大学生くらいだと思う。

天然パーマなのか跳ねが目立つ黒髪に、黒縁眼鏡を着用。

彼は私達に無表情でペコッとお辞儀をすると、無言で席についた。

寡黙そうな人だな。


私とおばあちゃんも簡単に自己紹介を済ますと、食事がスタート。

若月様の手作りカレーライスは文句なしに美味しかった。


「千早様は食べないんですか?」


食事の途中、おばあちゃんがふと尋ねた。

確かに千早様も若月様もテーブルについてるけど、ご飯を食べてない。


「私達龍神は食べずとも大丈夫なんだよ」


「僕達のご飯は“正気(せいき)”なんだ」


せい、き?

何だろう?


疑問符が浮かんだ私の頭の中を察したんだと思う。

千早様がクスッと笑って解説を始めた。


「正気とは、この世界に存在する大地や空、自然の全てに宿っているエネルギーのことだよ」


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