龍神様との恋愛事情!
「あら…?ごめんなさいね、どちら様だったかしら?」
「わ、私だよ。沙織。おばあちゃんの孫」
少し走ったせいか息が乱れた。
「一緒に家に帰ろう?」
「あら、あなたも家に帰るの?私も帰ろうと思ってたところなのよ~」
当たり障りのない会話をしながら道を歩く。
私はふと、後ろを振り返った。
まだ彼がいるかもしれない。
お礼が言いたかった。
けれど…。
「あれ…?」
誰もいない。
振り返っても、あの茶髪の龍神様は見当たらない。
「どうしたの?……ところで、どちら様だったかしら?」
「あ、うん…私は沙織だよ」
明日、また神社に行ってみようかな。
そんなことを考えながら家路を歩いていった。