龍神様との恋愛事情!


 翌日、私は朝ごはんの後片付けで若月様と二人、台所にいた。

おばあちゃんは箒を持って廊下のお掃除中。

朱美ちゃんと謙一郎さんは二階に行ってしまったから、ここにはいない。


「なあ、沙織。昨夜、兄上と何かあったか?」


食器を洗っていた私は、動揺を誘ういきなりの質問に手を滑らせた。

ガチャンとお皿が音を立てる。


「お、おい!平気か?」


「あ、はい。お皿は無事です。すみません」


「そうか。で?今朝から兄上の様子が変なんだが、昨夜何かあったとしか思えない。心当たりはあるか?」


ズバリ尋ねられて私は視線を泳がせた。

昨夜、伊吹様が帰った後、私と千早様は一言も会話せずに別れた。

あの後、千早様はどんな気持ちで夜を過ごしたんだろう?

私は……嬉しさと悲しさがごちゃまぜだった。


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