龍神様との恋愛事情!
伊吹様から奪還してくれた嬉しさと、「好きになりたいと思う」って言われた悲しさが、私の心に交互に込み上げては消える。
いつの間にか眠って、朝になった今でもこの心境は変わらない。
「千早様は…どういうふうに変なんですか?」
「お前みたいにボケッとして、僕の話を聞いちゃいない。突いても蹴っても動かないし、何より微笑みが消えた」
微笑みが消えた?
そういえば、まだ千早様と顔を合わせてない。
「どこにいるんですか?」
「最上階だ。兄上専用の広間」
そこって、三階のことかな?
「三階は私の部屋だ」って千早様は言ってたよね。
「なあ、沙織。頼みたいんだが」
「はい」
「兄上を叩き起こしてきてくれないか?妻にしたい女に足蹴にされれば、流石に立ち上がると思うんだ」