龍神様との恋愛事情!

二階と同じで吹きさらしの、眺めのいい部屋。

遠くの景色を見渡すためか、部屋の隅の床に気怠げに座り込み、柱にもたれかかっている千早様。

そんなボンヤリとした千早様の唇へ、一方的に口づけている美女。


あまりの光景に、言葉が出ない。


ズキンズキンと胸が騒ぐ。


なんで……キスしてるの?


ドウシテ、ワタシジャナイノ…?



千早様が私の存在に気づいたのはキスが一通り終わってからだった。


「ちは、や様…」


呼びかけた声が震えた。


「沙織…?なぜここに…」


千早様の黒い瞳が微かに動揺しつつ、私を真っ直ぐ見つめる。

傍にいた女性の龍神様が絡み付くように身体を擦り寄せたけど、千早様はそれを押し退けて私を見つめたまま、すくっと立ち上がった。


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