龍神様との恋愛事情!
澄み切った青が美しい空を翔け、千早様は天を突き抜ける巨大な転生山へ向かった。
目的地は山の中腹辺りに流れる滝。
私達は腰を掛けるのに丁度いい岩に座り、二人きりで滝の落ちる爽やかな音に耳を澄ました。
「涼しくて気持ちいいですね」
「………」
移動中も今現在も、だんまりな千早様。
どうしよう。
何を話題にすればしゃべってくれるかな?
隣に座って俯いている千早様を横目に考えていると、千早様がおもむろに口を開いた。
「沙織は…」
「はい?」
「沙織は、怒らないのかい?」
「え?怒る…?」
「なぜそんなに平然としているんだい?私が他の雌に唇を許しても嫉妬すら覚えないほど、私は魅力がない?私は…沙織に何とも思われていないのかな?」