龍神様との恋愛事情!


 降龍神社はこの村に欠かせない神社で、祭の時期や大きな行事がある時、村人達はここに集まるのが習慣だ。


「神様、助けてくれてありがとうございました」


私は一人、社殿の前で手を合わせ、感謝の言葉を口にした。

けど、心の中では別の思いが渦巻いていた。



――どうして文ちゃんを助けてくれなかったの…?



神様を恨みそうだった。

どちらか一人しか助けないなんて、不公平だよ…!



「………神様の馬鹿」



小さく小さく呟いたら、返事が返ってきた。


「助けてやったのに、馬鹿とは…」


「え…?誰!?」


頭上に何者かの気配。

しかも聞き覚えのある声だった。


「桜……俺を見ろ」


見上げた先。

神社の大きな木の枝に、優雅な雰囲気をまとい腰掛けている白い人。


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