龍神様との恋愛事情!
「……無茶を言うな。神だからといって、何でもできるわけではない」
「でも…!」
「納得しろ。俺はお前を生かすと決めたんだ」
言った瞬間、神様が地に飛び降りた。
そして、足音も立てず静かに私の目の前へやって来ると、鋭い爪で唐突に自分の手の平を切った。
「な、何をして…!」
「飲め」
「え!?」
手の平からぽたぽたと垂れる血を私に差し出す神様。
「飲まねばお前は生きられん」
「どういうことですか…?」
説明を求めると神様はちょっと黙ってから話し出した。
「俺は龍神なんだ」
龍神様?
降龍神社の裏にある塒山に住んでるっていう、あの?
小さい頃から龍神伝説は寝物語におばあちゃんから聞いていた。
この村に旱(ひでり)が続いた頃、雨乞いの祈りを捧げたら塒山の山頂から白龍様が降りてきて、雨を降らせて下さった昔話。
大好きだった。
私の中で龍神様は村を救ってくれた英雄で、本当にいるなら会ってみたいと何度思ったことか。
「あなたは、白龍様?」
「そう。塒山の白龍だ」