龍神様との恋愛事情!


 次の日の午前中。

私はおばあちゃんと二人、河原で洗濯をしていた。


「桜ちゃん、降龍神社には行ったの?」


おばあちゃんの質問に私は「うん」と頷いた。


「そうかい。じゃあ今日は塒山神社へ行っておいで」


「塒山へ?」


「そう。あそこにも神様がいるからねぇ。龍神様さ。川で助かったんだから、龍神様にも感謝しとかないとねぇ」


それって、昨日会った白龍様のことだよね。

降龍神社にいたけど…とりあえず行ってみようかな。塒山にも。


小さい頃、私はおばあちゃんに連れられて何度も塒山神社へお参りに行ったことがある。

村のみんなは山頂まで登るのが大変だからと、あまり塒山神社へは行かない。

でも私は降龍神社よりも、塒山神社の方が好き。

だって、憧れの白龍様がいるって聞かされてたから。

だから今でも、たまにお供えものを持って山に登る。


「わかった。洗濯が終わったら行ってくるね」


私はこの日の午後、久しぶりに塒山を登った。





< 402 / 564 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop