龍神様との恋愛事情!
「おやおや、珍しい光景だね。あの白龍が娘子に抱き着かれて大人しくしているなんて」
今度は社殿の方から穏やかな男性の声がした。
白龍様と一緒にそちらを向くと、貴族が身につける上等な紅の着物を纏った青年が、ニヤニヤと笑みを作りながら立っていた。
「あなたは?」
「こんにちは。可愛らしい娘さん。私は級長津彦命(しなつひこのみこと)と呼ばれている。この神社の主神さ」
「あなたが、病を癒して下さった神様ですか!?この度はありがとうございました!」
「ふふ、いい子じゃないか。白龍、君が欲しいと思うのも無理はない」
神様が一歩踏み出し、私に近寄る。
歩く度、結われた長い黒髪に飾られた小さな鈴から清んだ音が鳴り響く。
「私のことはシナ様とお呼び。君の名前は?」