龍神様との恋愛事情!
「桜です」
「へえ、可愛らしい花の名だね。君によく似合う」
風が頬を撫でるように、シナ様が私に触れてくれた。
それが気に入らなかったのか、白龍様がシナ様から私を遠ざける。
「ははーん。ベタ惚れだね、白龍。面白いな」
「…級長津彦命、病を患った村人は全て癒したか?」
「ご心配なく。仕事はきっちり果たしたよ」
シナ様は得意そうに微笑んだ。
「此度は白龍もご苦労だったね。まあ、可愛らしい桜の姫君にいいとこ見せたかっただけかもしれないが…善き行いに変わりはない。そ、こ、で!」
シナ様が手を伸ばし、白龍様の不自由な左腕に触れた。
「ご褒美だよ」
瞬間、風が舞った。
暖かな風の渦が白龍様の左腕に集まり、みるみる形を成していく。