龍神様との恋愛事情!
「級長津彦命っ!!」
勢いよく白龍様が抜刀した。
あろう事か、シナ様に向かって刃を振るう。
「おっと、恐ろしや」
それをヒラリとかわして宙に舞い上がるシナ様。
「さて、もう少しここで白龍をからかいたいが、生憎と私は忙しい。早々に京へ戻らねば」
穏やかな風がシナ様を取り巻くようにして流れる。
「さらばだ、可愛らしい桜の姫君」
最後に鈴の音を響かせて、シナ様は神社から姿を消した。
「全く……」
刀を鞘におさめると白龍様は溜息をついた。
「白龍様、刀を抜いたらダメですよ!せっかく助けてもらったのに…」
「感謝はしているが、あやつの性格が気にくわん。底意地の悪いっ」
吐き捨てるように言ってから、キッと私を睨みつける。
「お前も、簡単に接吻を許すな」
「え…?」
もしかして、白龍様…ヤキモチ…?
「良いか。お前は俺のものだ。俺に生かされた命を他の奴に触れさせるな」
強気な口調。
紡がれた言葉は理不尽な命令に聞こえる。
けど、それでもいいと思ってしまった私は――。
「はい、白龍様…」
どうしようもなく、あなたに溺れてる…。