龍神様との恋愛事情!
「桜っ。いるか?」
この声は……村長の息子さん?
「桜!」
蝋燭の明かりが薄暗い倉の中を照らし出した。
やっぱりそうだ。
告白されたけど断ってしまった村長の息子さんだ。
「あなた…どうして、ここに?」
「しっ、静かに。助けに来た」
「私を…?」
「決まってるだろ。ほら、縄を解くからこっち向いて」
彼は蝋燭を床に置くと、まず足の縄を解きにかかった。
「ったく、酷すぎるぜ。祖父ちゃん達が間違ってるよな、絶対」
「どうして助けるの?村長さんに見つかったら怒られちゃう」
「事情は知ってる。知ってる上で、桜を死なせたくない」
「私……あなたのこと、断ったのよ…?」
気にしていたことを自分から言ったら、苦笑が返ってきた。
「関係ないさ。拒否されたからって、俺は桜のこと嫌いになれないし、死んでほしいとも思えない」