龍神様との恋愛事情!
長期出張から帰ってきた感覚なのかな?
神社巡りの大変さをアピールするようにシナ様は盛大な溜息をついた。
「ところで白龍。君はここへ何しに来たんだい?」
そう問い掛けるとシナ様は私の肩を抱いた。
動いた拍子にシナ様の黒髪を飾る小さな鈴がリンと鳴る。
「桜の姫君がいるのはわかるんだよ。人間の魂は生まれ変わるからね。しかし、君は……龍神だ」
ハッキリ指摘され、私はゴクリと唾を飲んだ。
どうするんだろう…。
伊吹様は、何て答えるの…?
「級長津彦命」
「何かな?」
「俺を、人間にしてくれ」
息を、呑んだ。
「言い伝えでは、転生山の頂きへ辿り着いた龍神は人間に生まれ変われるはずだ」
「ふむ、確かに。君の言う通りだよ。けれど本当に良いのかな?」