龍神様との恋愛事情!
「龍矢くん……これ…」
首に巻き付いたのは今まで龍矢くんがしていたマフラー。
「寒いだろう?してろ」
「えっ、でも龍矢くんが…!」
「俺はいい。慣れてる」
そう言ってスタスタと先を歩き出す。
慌てて背中を追いかけて、私は龍矢くんのジャンパーを掴んだ。
「ありがとう…」
照れまじりにお礼を言えば、滅多に見れない龍矢くんの優しい微笑みが返ってきた。
その笑顔に、ドキンと胸が高鳴る。
龍矢くんは、不思議。
無口で無愛想なくせに、たまに見せるその笑顔がとても穏やかで、優しくて…。
容姿も、少し変わってる。
髪は黒なのに、瞳は綺麗な翡翠色。
龍矢くんの両親はれっきとした日本人だから、本当に不思議。
「清華、あそこに猿がいる」
「え?」
いきなり龍矢くんが電信柱のてっぺんを指差した。