龍神様との恋愛事情!

「何百年待ったことか…」


上品な白い着物を身にまとった彼は、ゆっくりと私の目の前に来た。

翡翠色の瞳が闇に光ってる。

綺麗だけど…とても妖しい光り。


「来い、桜(さくら)」


彼が優雅な動作で手を差し出した。


「私…桜じゃ、ありません」


桜って誰?

そういえば、桜川の由来になった女の子が桜って名前だったっけ。


「否定するなら今の名を言え。何と言う」


「さ…沙織です」


なぜか逆らえなかった。


「沙織か。ならば沙織。俺の手を取れ。行くぞ」


「え?あの…行くってどこへ?」


「裏側……龍の世界に決まっているだろう」


はい…?

龍の世界?

ということは、この人も龍神様!?


< 62 / 564 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop