モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~


「…わからないなら、わかるまで
ずっとその格好でいるんだね。」

「凍夜!!」

食い下がる姫乃の横で小首を
かしげていた沙羅が何かに
気付いて姫乃の服を引いた。

「ね、お姉さま。」

「っ、っ…なに…?」

「あのね、お姉さまが昨日
樹に上ったとき、お義兄さま、
部屋にいたの。だからだと思うの。」

「…。…ええと、ごめんなさい、沙羅。
言ってる意味が、ちょっと、
よくわからないかも…。」

「ええと…あのね、お義兄さまは
お姉さまを心配して、その、
樹に上らないようにドロワーズを
隠したと思うの。」

「いや、余計わからないから…
心配とこの嫌がらせのような
悪戯に関係なんて…。…あ。」

姫乃も、やっと理解できて突然黙り込む。

そうだ。いつも姫乃が樹に登ったり、
突飛な行動をとるときは、
何かあったときに必ず凍夜が
手をかせるところにいたのに、
昨日は別々の場所にいたのだ。
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