幸せをくれた君に
そして、君に嘘をついてまでデートをキャンセルした日曜日。


俺は、自分には不釣り合いだとしか思えぬ場所にきていた。


緑があふれる山の中にある白を主体とした、そうまるでいつかテレビで見た外国のお城のような豪邸。


『一度、こんなところに行ってみたいね』


確か、理沙はそんなことを言ってたっけ。


だけど俺は今、二人じゃなく、一人でいる。


きっと理沙と二人ならば、興味津々でこの白亜の豪邸を眺められただろう。


けど、今の俺はそんな楽観的な気分になれない。

俺は何度か訪れたにも関わらず、気後れと、うしろめたさを感じながら、玄関のドアの前に立つ。


するとタイミングよくドアが開いた。どこからか俺がきたのを監視していたのだろう。


初めて来た時は、いきなり開いたドアにびっくりしたものだ。


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